先日のアメリカ遠征の際、大変綺麗な日本語を話す日系3世の営業マンが、敬語の使い方が難しい・・・っとぼやいていました。
日本人でも難しい敬語の使い分け。
それは、単に言葉のむずかしさだけでなく、関係性の中で誰が一番えらいのか?あるいは、誰に気を使うべきなのか?を瞬時に見抜く必要があることに由来しているのかもしれません。
アメリカをはじめとした西欧諸国には、敬語にあたる表現はなく、しいてあげれば【Sir】(サー)というのが該当するぐらい。
関係のなかで言葉を使い分け出来ることは、日本人だけができる特殊技能なのかもしれません。しかし、友達みたいな親子が増えたり、目上の方に気を使えない大人も増えているのが現状です。
今回の国史ブログでは、敬語の素晴らしさとその課題を「お疲れ様」をキーワードに紹介していきます。
タモリさんが、子役によるお疲れ様禁止令!を番組のなかで提案されました
自分自身には「お疲れ様」に違和感のない世代ですが、50代、60代の方にとっては、目下の人に、「お疲れ様」と言われるとイラっとするそうです((+_+))
本来であれば目上の方が、目下の人にかける言葉だったものが、いつのまにか、誰もかれもが使う万能の表現になってきているそうです。言葉は生き物。時代時代でその意味を変えることがあっても、子役に「お疲れ様」と言われる筋合いはない!との主張はもっともです
30年間続いた「笑っていいとも」終了後、タモリさんは、アングラ芸人の真骨頂をみせています。ディープな目線で街歩きをする「ブラタモリ」そして、バーでの大人のトークをみせる「ヨルタモリ」は、つまんない地上波のテレビにあって、面白さはとびぬけています
今回の「お疲れ様」の問題、NHK放送文化研究所・塩田雄大氏のアンケート調査によれば、その日に会った冒頭の挨拶として「お疲れ様です」を使う人は、60歳以上では36%。20代、30代では59%にのぼる。年配者が使う頻度が高いはずの言葉を、逆に若い世代ほど多用しているのが現実だそうです。
若者が敬語を使えない!というのは簡単なロジックです。しかし、この問題をちょっと掘り下げてみると、日本語の日本語にしかない特徴に、この問題が根差すことが分かります。それは、目下の人から、目上の人にかける常用句がない!という特徴です。
つまり「お疲れさま」を封じられると、若者から目上の方への挨拶が「ない」のです。
しいてあげれば「お先に失礼します」が、あげられるぐらいです。
たくさんの挨拶があるのに、「お疲れ様」にあたる言葉がない(^_^;) 私たちのご先祖さんも、2000年の歴史の中、その必要性がなかったというのがその理由かもしれません
そもそも、日本語は、敬語、尊敬語、謙譲語といった様々なシーンで言葉を使い分ける必要がある世界有数の難解な言語です。
英語でいえば、【I】(アイ)で済む自分をさす単語が、私、自分、ボク、俺、拙者・・・っと数えきれないほど存在します。
これは、東西の文化の違いに根差す問題です。西欧では、神様の存在が絶対です。神様からの目線でいえば、誰もがYOUであり、自分自身はIです。その他の表現はいりません。
しかし、日本では、会社の上司や、部活の先輩、お客様や、親戚のおじさんっと、立場立場で、I。そしてYOUのポジショニングがコロコロ変わるのです。
そして【I】や【YOU】がないように、英語には「兄」「弟」という表現もなく、ひとくくりに「ブラザー」です。また、「先輩」「後輩」にあたる単語もなく、ひとくくりに「スチューデント」と表します。
海外に比べ、日本の自然は多様性をもっていると言われます。四季折々の花。そして時には荒れ狂う暴風や地震・・・ しかしこの多様性こそが、日本人を強く、しなやかに育んできたと幡谷は考えます
今回、タモリさんの提言により、この多様性は、日本語のなかに色濃く反映されているのだっと、あらためて気づかされました。そして日本人は、敬語、尊敬語、謙譲語だけでなく、漢字、ひらがな、カタカナを使い分けする民族でもあります。
これは、世界中の何億人もの人が、生まれてから死ぬまで26文字のアルファベットの中で生活するのと対照的に、ひらがなだけで50文字。これに何千もの漢字を使いこなす日本人のとてつもなさを見せつけるエピソードではないでしょうか?
重いバーベルをあげると、筋肉に付加がかかり結果、筋肉は増大します。
同じように、たくさんの関係性、そしてたくさんの文字を使いこなす日本人には、世界中、だれもまねできない神秘的な能力を兼ね備えている!と断言できます。
以前、「埼玉化する日本」というテーマでブログをかき、ロードサイドの店がみせる無表情なまちづくりに日本の危機を感じることを提言しました。
今回は、「子役化する日本」という課題がみえてきています。若者が使うトンチンカンな敬語は、大人が大人の言葉を使っていない証拠です。つまり、好い手本をみせていないツケが、新しい世代に押し付けれています。金太郎あめを切ったように薄っぺらい笑顔をみせ「お疲れ様」っと声をかけあう風景に、日本らしさはありません。
大人が大人でいること、そしてタモリさんのように大人の時間を楽しむことが、子役化する日本を脱却できるキーワードになりそうです。
会社のなかでは、幡谷は、社長職をつとめています。この場合、年下であっても、年上の方に敬語をつかいながら、注意しなくてはいけない場面もあります。こんな時、言葉遣いは非常に難しいものです(*_*)
年上の方、年下のひと。お得意先さんに、お客様。 関係のなかで言葉を使い分け出来ることは、日本人だけができる特殊技能です。しかし、友達みたいな親子が増えたり、目上の方に気を使えない大人も増えているのが現状です。タモリさんが投げかけた「お疲れ様」問題は、いまの日本の課題を言いあてた素晴らしいものでした。
かんがえれば考えるほど分からない・・・
明日から、会社の帰りになんて声掛けよう(*_*)
とりあえずブログを読んでくださったみなさまに、「お疲れ様でした!」でなく「ありがとうございました」^^; 本当に日本語って難しいですね
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