ヒットラーより怖い第三者委員会

2020年の東京オリンピックの公式エンブレムの問題で、デザインを担当した佐野氏側が、原作者の立場で取り下げを願い出るという形で、白紙撤回されました。

 

問題のデザインについて、100歩ゆずってパクってなかったとしても、他に手掛けた作品に盗用があったのならば、疑われて当然の報いです。

さらに、盗用を否定した会見で使用した画像が、無断使用したものだった発覚し、取り下げに至ったものと推測されます。

  

国威発揚のオリンピックのという「ハレ」の舞台に、水を差す結果となり、非常に残念でした。

 

ただ、今回のいきさつとは別に、白紙撤回を表明した組織委員会事務総長 武藤氏の記者会見に、違和感を感じた人も多いのではないでしょうか?

 

ざっくりいえば、

 

 

•組織委員会はロゴが模倣のものだとは認めていない

•しかし国民が騒いだためにエンブレムを取り下げることに決めた

•スポンサーには丁寧な個別対応をしていく予定である

•ネット画像の流用は閉じた場ではよくあること

•画像検索は危険

•審査委員会が選んだことだから組織委員会は活用するだけ(責任転換)

•一般国民には理解できない

 

 東大卒で、在学中に司法試験に合格。以後、大蔵省に入省し数々の職務を担当してきた武藤さんですが、アホっとしか言いようのない記者会見となりました。

 

仲良しこよしの官僚さんの世界では、責任転換で言い逃れることができても、記者会見の印象っというのは恐ろしいものです。この会見を超訳すれば、

『高尚なデザインは一般国民には理解できない。でもうるさいので、取り下げる。でも責任は誰にもでないからね(^_-)』という感じ

 

今回の案件は、武藤さんの上から目線のおかげで、問題があぶりだされましたが、悪い奴ほどよく眠るとの格言どおり、本当に悪い人はもっとしたたかに、そして大胆に悪さをしていきます。

 

1500億といわれる新国立競技場の建設費も議論されているなか、無駄使いでいえば、まだまだ大物が控えています。

この3分の1にあたる581億円かけてつくられたのが、独立法人 雇用・能力開発機構による「わたしの仕事館」はわずか7年で閉鎖されています。

茨城では、霞ヶ浦と那珂川をむすぶ導水事業が、1900億をかけ進められていますが、工事着工から30年。進捗率は40%ほど。なおかつ生態系の問題から取水の差し止め命令がでるなど、平成の万里長城をきずくような無駄が今なお続いています。

 


こうしたビックプロジェクトを進める際、あるいは不祥事が発生すると、「委員会」あるいは「第三者委員会」なるチームが結成されるのをニュースで見たことはないでしょうか?

 

この「第三者委員会」というのが、曲者で、官僚さんにとっては、ドラえもんよりも、無理難題をとうしてくれる秘密道具なのです。

 

第三者委員会とは、どんな組織なのか?

辞書をひくと、当事者とは関係ない第三者が、客観的にジャッジしていくこととなっています。ただし、建前と本音は往々にして違うもの、この秘密道具にはどんな機能があるか?を検証していきます。

 

1.こじれた問題も、第三者委員会にまかせることで、決着がつく(みそぎの機能)

2.第三者委員会の委員の選定は、事務局がするので、結局、議論を誘導している

3.シナリオは事務局がつくり、結局、何も議論はしていない

4.議論がこじれた場合も。2の委員の選定の時点で過半数の委員を抑えてあるので安心

5.出来上がった指針や指摘を受け取る頃には、マスコミや国民の関心は低くなっている

 

ある意味、どこでもドアよりもすごい、問題解決をはかるひみつの道具です(*_*)

 

こうした、ひみつ道具の存在をするどく指摘したのは、『道路の権力』の著者・猪瀬直樹さんです。当時、第三者委員会の委員として道路公団改革に乗り出した際、事務局からの数々の嫌がらせを本にまとめ告発したのがその内容です。

 

また第三者委員会の一番の利点は、問題が発覚した際には、第三者委員会のせいにできる点。

そして、あくまで参考意見なので、従う、従わないという点も、政治判断っという逃げ口が用意されている点です。

 

実際、道路公団改革でも、猪瀬さんの奮闘むなしく最後は政治判断でグダグダの決着がなされました。また、本来、猪瀬さんを称えるべきマスコミも、体制に寝返ったようなネガティブな報道を繰り返した記憶さえありあます。第3者委員会には、マスコミもひとかみしているのが通例なのです。

 

今回のエンブレムの選考の過程では、デザインのプロが集う委員会で決がなされたとされています。ただし、委員のほとんどが、デザイン村の仲間ばかりで、お友達グループ内で、業界内の様々な賞を持ちまわっている?との疑惑さえあります。

 

事務総長の記者会見でも、組織委員会、事務局、選考委員会、すべてに責任がない!という大胆な言い逃れに終始しており、空いた口がふさがりません。

 

悪い奴ほどよく眠る。

本当に悪い奴は、熱狂的に国民を先導するヒットラーではなく、静かに、そしてしたたかに、国民の利益をむしばむ官僚さんや大企業。あるいは、そのシステムではないでしょうか?

 

オリンピックのエンブレムはオリジナルなデザインではなかったが、

この無敵の第3者委員会のデザインは 、オリジナルなのかもしれません。

 

ヒットラーより怖い第3者委員会さん。

でもそのヒットラーさえも、選挙で選ばれている事実があります。では、第3者委員会を使い分ける官僚さんは、何に選ばれているか!? それは、いまのところ20前後の若造の学力でしかありません・・・

 

日本をむしばむ病巣は、本当に深い・・・

責任のとれない組織の暴走は時にとんでもない間違いをまねくことになります。

そしてそれは、オリンピックの組織委員会だけでなく、我々の暮らす日本、そのものの姿なのかもしれません。パクリを暴いたのも庶民の力、そして他人事のようにニュースをみているボク、いずれも立派な国民です。

下に恐ろしいのは、そんな庶民そのものです。


あるいみ武藤事務総長のおかげで、その闇に気づくことができました(*_*)

せっかくやってくるオリンピックです。どうせなら足のひっぱりあいをせず、とことん楽しんでいきましょう^^!