人類を救う「もやしもん」の世界


 

 

 

 

 

 

 

画像は、目に見えない微生物の世界を紹介し話題になった漫画「もやしもん」です。

 

先ほどノーベル医学賞を受賞された大村先生は、、「ノーベル平和賞の受賞の半分は、微生物のおかげだ」と発言されています。

記者会見でも紹介された通り、日本は、醤油、酒、味噌などに代表される発酵食品を上手に活用してきた、世界に類をみない微生物を有効利用に長けた発酵王国です。

 

漫画「もやしもん」では、架空の農業大学を舞台に、目にみえない菌の世界を擬人化し、発酵食品の秘密を楽しく解き明かしています^^ 幡谷が通っていた東京農大 醸造学科は、そのモデルで、学生時代テストの度に悩ませた【サッカロマイセス・オリゼー】といった微生物が、そのまま「オリゼー君」として人気キャラになっています^^;

 


今回、受賞のきっかけになった病をなおす抗生物質は、伊豆のゴルフ場から採取した土の中から発見された微生物が元になっています。菌と先生との出会いがなければ、アフリカの方々のフィラリア症との闘いも、また愛犬に飲ませる蚊の薬も、誕生していませんでした。

 

地球上で発見された動植物の数は170万と言われるなか、微生物の大半は、いまだ名前もつけられず、山や海、そしてあなたの周りでウヨウヨただよっています。また未発見の微生物の数は1億とも50億ともいわれています。

ヤクルト1本に400億もの菌がいるように、あなたが指でつまむ土の中にさえ地球上の人口をこえる「もやしもん」が存在しています。

 

大村智先生は、微生物ハント界の巨人です。生きている間に1つの有用物質をみつけるだけでも奇跡っといわれる研究の世界にあって20以上の物質を発見し、人類への貢献を認められノーベル医学・生理学受賞につながりました。

 

何億という微生物の中から、他の研究者が見逃してきた何気ないギャップや違和感を、汲み取り、まさに神業のように、人類にとって有用な微生物を発見してきたのが先生の実績です。また「人と同じことをやっていては、その人を超えられない」との名言を残されたように、独自の理論を次々に編み出し、多くの実績をのこされました。

 

漫画のように「もやしもん」の声を先生だけは聞くことができているのかもしれません(*_*)

 

 


日本は、醤油、酒、味噌などに代表される発酵食品を上手に活用してきた、発酵王国です。発酵とは、小さい小さい生き物である微生物の習性を巧みにいかし、お酒や、醤油をつくりあげる技です。そして今、発酵の技術は、食品だけでなく医薬やエネルギーへの転用など、様々な展開をみせはじめています。

 

高温多湿の日本は、菌の宝庫です。様々な地域で自然の恵みを巧みにいかす多様な発酵文化をはぐくんできました。そのままでは味気ない大豆であっても、発酵することで高い栄養価と、様々な味を楽しむことができます。岡崎では赤みそが生まれ、信州では白みそ。また醤油は万能調味料として、今では世界中に出荷されるようになりました。こうした微生物の力を借りながら、生活を豊かにする知恵を日本人は受け継いできました。


お酒づくりも、発酵の賜物です。微生物は生き物とはいえ、歩いたり歌ったりできません。ただし、お友だちを増やしたがる性質があります。アルコールをつくる原理は、この寂しがり屋の性格をうまく利用したものです。


ワインは、ぶどうに含まれる糖をご飯に、酵母(イースト)がお友達を増やす過程で、アルコールと炭酸ガスをだしていきます。シャンパンの泡は、このガスが由来になっています。

材料の「ぶどう」を、「小麦粉」にかえればパンになります。また、のむお酒だけでなく、トウモロコシを材料に、エタノールをつくり、車を動かしたり、最近では、ミドリムシを増やして、ガソリンに近い油を作り出すことにも成功しています。

 

微生物の研究が進んだ現代では、チーズづくりに欠かせないレンネット酵素を発酵技術で生み出しています。それまでは、罪なき?子牛を殺し4番目の胃袋から酵素を搾取してきました。有史以来、チーズのために何万頭もの罪なき牛を殺してきたのです。しかし日本人の博士が微生物から発見した同種の酵素が同じ効果を生むことを証明し、いまでは胃袋からでなく、微生物がチーズづくりで活躍しているのです。

 

我が物顔で、地球を支配する人類ですが、名前をつけた生物でさえ、全体の数%にもみたないと言われています。巨大な機械をあやつり、月までいったとしても、いまだ蟻の1匹も作り出せないというのが科学の限界です。ただし、顕微鏡が、開発され、目にみえない微生物の存在を証明するずっとずっと前から、私たちの祖先は、微生物の有用性を発見し、その特徴をいかすことで、生活を豊かにしてきたのです。

 

1gの土には10億以上の微生物がいると言われています。そして私たちの身体の中には、600兆個の細菌がすみついているとも言われています。人類が地球のことを何にも知らないように、実はこの身体の中だって、知らない事だらけなのに、分かったふりをしているというのが、人間の傲慢さです。

 

大村先生も、ノーベル平和賞の受賞の半分は、微生物のおかげとの発言をされています。

 

人類の歴史を人知れず支えてきた「もやしもん」(微生物)、利他の心があるならば、我々は、名もしれぬ微生物たちこそ、感謝を表さなくてはなりません。

小さな虫にも一分の魂。もっと小さな微生物の世界には、もうひとつの地球が、詰まっています。綺麗好きな奥様も、今日だけは微生物に感謝し、ファブリーズをひかえてみてください。もしかしたらあなたの玄関にいる細菌が、将来何億もの人類を救うかもしれませんよ^^