ガンダム経営学
ニュータイプ経営論
「最近の若者ときたら・・・」(紀元前 ピラミッドの落書きより)
テレビや雑誌でよく目にする「最近の若者」論。
そんなに昔がいいのか!?と疑ってみたことはありませんか? よく考えてみると「最近の若者ときたら」とクチにする年寄りも、50年前は若者だったわけで、結局、猿から人間になってから、ずっと年寄りと若者は、綱引きをしてきたのかもしれません。
人気アニメ「機動戦士ガンダム」では、こうした旧世代と新世代の軋轢を、「ニュータイプ」という概念をつかって描いていました。
「ニュータイプ」とは、劇中に登場する架空の概念で宇宙に出たことにより新たな感性を獲得した人とされ、テレパシーのような能力で、人類の新しい可能性を示すものとされました。
物語のなかでは、ニュータイプの能力を戦争に活かそうとするジオン軍と、ニュータイプの存在を疑いながらも、ジオンに対抗するため、少年少女を利用していく連邦軍を描き、こうした複雑な世界観が人気の一翼を担いました。
アニメであり、また宇宙世紀という架空の世界でありながら、今なお人気をはくすガンダムの世界観には、現代社会の縮図も色濃く反映されています。
今回のブログでは、ニュータイプの概念を「新世代」と「旧世代」の軋轢と仮定し、企業経営の中で異能者がどう扱われるべきか?を論じていきたいと思います。全国2000万人のガンダムファン必見のニュータイプ経営論です^^
スティーブ・ジョブズに学ぶニュータイプの活かし方
組織の中で、異能者(ニュータイプ)をどう扱うか?は非常にやっかいな問題です。経営の面からすると新しいマーケットを切り拓く異能者は大歓迎ですが、組織論でいうと、和をみだし、他のひとの足をひっぱる?ニュータイプはとかく煙たがられます。
ニュータイプの存在は、守旧派からすれば、嫌悪の対象ととられ、ガンダムの物語のなかでも、抜群の戦績を上げ続けるホワイトベースの部隊は、大事にされることもなく、嫌がらせのように厳しい転戦を強要されていきます。
社会にイノベーションをおこすニュータイプ。 現代において、ニュータイプといえる実績を遺したといえば、スティーブ・ジョブズの名があげられます。
ジョブズは、アップルの創業者の一人であり、1984年マックを発表。そして、2001年には初代iPodを世に送り出し、音楽の聴き方だけでなく、音楽業界全体を変ました。そして2007年にはiPhoneを発表、世界中の人々の暮らしにイノベーションをおこしています。死後、4年たった今も確実に社会に影響を与える真の変革者です。
しかし、ジョブズの生涯は、オールドタイプとの戦いともいえます。 数々のヒット商品は、同業社にパクられつづけ、社内でも、自ら立ち上げたアップル社を追い出される悲運にも立ち会います。ガンダムを操縦するアムロレイも、ホワイトベースから追い出されるシーンがありました。突出した人材は、とかく周囲とイザコザを起すものなのかもしれません。
「ガンダム」でいえば、敵はジオン公国。そして目的はジオンを倒すことです。組織も、 ジオンに対抗するために存在し、嫌々ながらもニュータイプは認められていきます。
これを「企業経営」にプロットすると、敵は売上ともいえそうです。 しかし、売上をのばすための組織が、組織のために組織になっていないでしょうか?
手段であるはずの組織が経営の重要課題になってしまい、売上をたたき出すニュータイプでなく学歴や年齢を優先してしまっていませんか?
たとえば、数兆円を動かすメガバンクで30代、40代の経営者はいるでしょうか。仮に、社会にイノベーションをおこす未来のアムロや、ジョブズが入社したとしても、組織論に勝る会社では陽が当たらないのはあきらかです。
しかし日本でも、変革期には、ジョブズのようなイノベーションをおこす人材が活躍していました。明治維新後の経済界では、渋沢栄一をあげることができます。
渋沢が、第一国立銀行(現・みずほ銀行)の頭取に就任したのが30代のとき、その後も東京瓦斯や、王子製紙など500もの企業の立ち上げにかかわりました。30代で成功をおさめた渋沢栄一がつくった会社が、100年をへると、ゴリゴリの守旧派になっているのも歴史の皮肉です。
組織のなかの異能者をどう受け入れ、才能をのばす場所を与えるかが、課題です。仮に、渋沢栄一の生まれ変わりがみずほ銀行に入社し、40歳を迎えたとしても、年功序列の世界では、支店長にもなれていないはずです。
日本以外でも、大企業病は深刻な課題です。たとえば、フィルム大手のコダックでは、デジタルカメラの開発を世界に先駆け成功させていたといわれていますが、商品化には繋がりませんでした。理由は、フィルムが売れなくなるからです(*_*) こうしてコダックのジョブズは、名もなき一技術者として歴史の中に埋もれ、コダック自身も、デジタル化の波に飲み込まれ、経営危機に陥っています。
会社にいい風をふかせるジョブズは、どこの会社にもいます。
しかし、ジョブズはいても、ジョブズを活かせる環境がないというのが課題です。
組織のなかでは、個人が組織に埋没されるだけでなく、経営とは別の村社会のルールの中で生きることが強要されます。それは、働くモチベーションだけでなく、会社を伸ばす芽を自分で刈り取っているのではないでしょうか?
一般に、異能者を向かいいれ、イノベーションが起こりやすい組織の特徴には
「ビジョンをしめし部下にまかせる環境」
「人材の多様性」
「上下間の風通し」
「コミュニケーションの密度」
「失敗に寛容な文化」
という5つの特徴があるといわれています。
逆に、この方法の反対を実践している会社があるとしたら、ゴリゴリの大企業病です。そんな会社はすぐに辞めたほうがいいでしょう(*_*)
一例をしめせば、イノベーションを起こすには、上司の数が少なく上の見通しが良い組織が理想です。日本でも1950年代中頃は、20代~30代に対して50代~60代が少ない人口構成となっており、この点も戦後にイノベーションが加速した理由の大きな1つだと考えられています。ただ現在は20代~30代に対して50代~60代が圧倒的に多く、大きな矛盾が発生しています。
いつの時代も、跳ね返りっ子はいるものです。そんな厄介者を押し込めるのでなく、「いっちょやらせてみっか」という選択がとれる会社は伸びる会社です。反対に、失敗をネチネチ指摘しているような会社であるならば、社員は挑戦をやめ、いつしか市場から必要とされない会社になってしまうのではないでしょうか?
ガンダムの中でも、アムロ・レイは組織の問題児でした。 ニュータイプを腐らせるのは簡単です。とにかく決まりや、前例を押し出せばいいだけ。しかし、ニュータイプを誕生させるには、胆力が求められます。
上司にとって、見守ること、そして失敗をみとめ、時には責任をとってあげることは、結構しんどいことです。オールドタイプと言われる人は、こうした責任から逃れるために、必要以上に、若手(ニュータイプ)を嫌い、枠にはめてしまうのかもしれません。 ガンダムは、所詮アニメでえがかれた紙芝居。おとぎ話にすぎません。しかしその物語には、アニメだからこそ、人間の強欲さや、組織の暗部を描ききったと幡谷は考えます。
指でタップするスマートフォンも、出来てしまえば、パクるのは簡単なことです。 しかし、あのアイディアにいきつくまでのジョブズの苦悩や周囲との疎外感は、計り知れないものがあるのではないでしょうか?
ジョブズの経歴で特徴的なのは、自分で立ち上げた会社なのに本人の立ち居振舞いが社内を混乱させたとして、1985年にアップルから追放された点です。 しかし1996年、経営不振に陥ったアップルの暫定CEOとして迎えられ再起をはたし、その末に市場に提供されたイノベーションこそが、iPhoneが発表されました。 ちなみにCEO時代の給料は1ドル。ジョブズが何のために働いていたかが分かるエピソードです。
時代をかえる変革者は、同時に組織の和をみだす、やっかいものです。 しかし、そんなやっかいものが、私たちの生活を豊かにしてくれました。それはジョブズだけでなく、渋沢栄一も、織田信長もニュータイプであり、あなたのお子さんこそが、カツ・レツ・キッカのように、未来をかえるニュータイプであることを信じてみましょう
きたれ第二のスティーブジョブズ。そして時代をかえるニュータイプたちよ^^
でも、実際、同じ職場で働いていたら迷惑だろうな(-_-;)
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