「おかげさま」と「報恩感謝」の経営学

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

台湾の大地震では、被害が局地的なっており、とくに倒壊したビルから手抜き工事を示唆する一斗缶が露出し、「天災」でなく「人災」であったと大騒ぎになっています

 

 逆に日本の建築ではどうでしょう?
耐震偽装で大騒ぎした姉歯物件でしたが、東日本大震災でもびくともしませんでした(+_+)

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ちっちゃいズルはあったとしても、そうじて日本の商人は高い道徳心を保っています

そんな商人の高い徳性を支える「おかげさま」と「報恩感謝」の論理を使って研究していきます

 

 

違法建築の問題では、規制の有無が議論がなりますが、初めから「脱法」覚悟で商いをする輩には、規制なんて意味をなしません。

おとぎ話のようですが、究極は「良心」にまかせるしか、違法建築をおさえる手立てはなさそうです

 

日本は犯罪数が非常に低く、治安のいい国として知られています。

そして、商いにおいても、「良心」を大事にしている法人が数多く存在していると家訓二ストは考えます

 

日本には、現在約600万社の企業が存在し、100年企業は15200社。200年企業は3000社が存在る老舗大国です。2位のドイツが800社。資本主義の権化と化したアメリカでも14社です。長くマーケットに受け入れ続ける法人は、それだけ社会に必要とされている証拠です。それは短期的な儲けだけでなく、「良心」にそった経営がなされてきた証なのではないでしょうか?

 

そんな老舗企業の多くには「家訓・社訓」が存在しています。変化の激しいマーケットの中で、変えていくもの、逆に変えてはいけないものの秘訣が、「家訓」には託されているのです。

 

 

 

■「おかげさま」と「報恩感謝」の研究

 

商いをしていると「おかげさま」という言葉が自然と出てきます

奥様が日本人でありご自身も日本文化に造詣の深かった歌手のジョン・レノンさんは、「OKAGESAMA」が世界で一番美しい言葉だと称していました。

 

「おかげさま」とは、「神様や周りの人のお世話によって元気に過ごしています」というような意味です。つまり、自分の力だけでは生きていないということが、この「おかげさま」という言葉に含まれていると家訓二ストは考えます。

 

また「おかげさま」を漢字で書くと「お蔭様」となります。

感謝の対象は、目の前にいる人。あるいは、お世話になった知人だけではなりません。例えば、一杯の白飯を食べる時、どれだけの「お蔭」があるか考えてみましょう^^

 

・ごはんを炊いてくれたお母さん

・お米を買うお金を稼いでくれるお父さん

・稲を育ててくれたお百姓さん

・太陽・酸素・海・風

・お米には7つの神様がいる!?

 

お父さん、お母さんまでは、「ありがとう」と言えますが、お百姓さんや、太陽には「ありがとう」と伝えられません(+_+) では、一杯の白飯への感謝をどう表すか? その答えは「ご飯粒を遺さない」という一点に絞られます。

 

「感謝の気持ち」を行動に変換すること、そして、そんな感謝の気持ちは、あなた自身が、誰かの「陰」となって恩返しをすることが大切です。そんな「ありがとう」の循環を、江戸時代の儒学者・二宮尊徳は、「報恩感謝」と言い表しました。

 

「恩」に報いて「感謝」する。そして、その感謝の気持ちをどう行動に変えるか?

 

西欧社会では、世界は神様が創ったと信じられています。しかし日本は、「報恩感謝」が社会を明るく豊かにしてきた歴史がありました。

 

「報恩感謝」

(家訓二スト訳:「ありがとう」という「ありがとうと言われる人間になる」)

 

 

 

■ 陰徳あれば陽報あり

 (安田グループ創始者・安田善次郎「家訓」より)

 

孔子が生きた中国では、2000年にわたり「儒教」が学ばれています。しかし、いまだに理想が現実になっているとは思えません。反対に、儒教が輸入された日本では、儒教が忌み嫌う「商人」たちが高い道徳心をもって、社会を支えています。

 

「おかげさま」は美しい日本語です。

そしてその「恩」に報いるため汗を流す姿は最も美しい行為です^^

 

人は、一人では生きられません。だから感謝が必要です。そして、あなたも私も、社会を明るく豊かにするために、置かれた場所で咲きましょう。それが家訓二ストが考える「報恩感謝」の法則です

 

「陰徳あれば陽報あり」とは、安田財閥を築いた安田善次郎の家訓です。

また、近江商人の家訓には、「先義後利」という言葉も伝わっており、銭銭うるさい商人たちが、世のため、ヒトのために、汗を流してきた気概が家訓には記されていました。

 

陰徳あれば陽報あり

(家訓二スト訳:銭を稼ぐためには、世のために尽くせ!?) 

 

 

■「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」

天台宗を開かれた伝教大師最澄の言葉

 

道徳と聞くと、ハードルが高く、どっかの偉い人ががんばればいいっと思ってませんか?しかし、「道徳」とは、難しいもの、高潔なものでなく、街のおっちゃん、肉屋のおばちゃんの持つ普段着の価値観です。

 

役職や、商売の大小なんか関係なく、大切なのは、感謝の気持ちを心に抱き、一意専心、それぞれの道を磨き続けることではないでしょうか?

 

日本でも近年、偽装建築や、商いの中の不道徳が目立つようになりました。しかしそれとて、諸外国に比べれば、かわいいもの^^ 現場の職人さん、パートさんは自分の仕事に誇りをもち今日も社会を支えています。もし、責められるとしたら、「金」や「評価」を気にして、不正をあおる経営者たちでしょう

 

海外のジョークでは、最強の軍隊は アメリカ人の将軍。ドイツ人の将校。  日本人の兵。とされています。 

そして最悪の軍隊は、中国人の将軍 、日本人の参謀、ロシア人の将校、イタリア人の兵だそうです((+_+))

日本は偉い神様でなく、「おかげ様」が支える庶民の国です。

老舗企業の8割がもつと言われる「家訓」には、変化の激しいマーケットを生き抜くたくさんの知恵がありました。

 

最悪の軍隊のたとえのように、社員(兵隊)は優秀でも、日本人は、マネージメントとか、俯瞰する目線とかが苦手なようです。「家訓・社訓」には、企業として変えてはいけないもの。あるいは変わらないために変えるものを示唆する金言があふれています。

 

 

■日本的「陰徳」の経営学

 

「報恩感謝」とは、「ありがとう」と言い、そして、「ありがとうと言われる人間」になることと家訓二ストは訳します。

そしてたくさんの「ありがとう」をもっている人はいい仕事ができるとも言えます

 

お世話になった人への感謝は、自分自身も、だれかの「陰」になり、陰徳をつむことで、社会は明るく、ちょっとだけ豊かになることでしょう^^

 

売上だけでなく、「陰徳」を競う世の中こそ、社会の理想です。

もうからない会社を経営する家訓二ストですが、それはまだ「陰徳」が足らない証拠^^;

これからも、お客様はもちろん、自分たちが社会に必要とされつづけるように、徳を積んでいきたいと思います