「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての 政治体制を除けばだが」
―イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの言葉
米大統領選挙で、下馬評を覆し、思わぬ接戦をみせるのは、ドナルド・トランプ氏(69)です。「超過激演説」が賛否両論、世界中で話題を呼んでいる。実はこの型破りな手法に意外な原点があったと指摘されています
「全てのイスラム教徒のアメリカ入国を拒否させる」
「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込む強姦魔だ」
「テロリストを捕まえるためには、拷問や水責め、テロリストの親族の殺害、何でもやれ」
「日米安全保障条約は不平等だ」
これまでトランプ氏の過激言動は枚挙にいとまがない。まさに恐れを知らない勢いである。
そんな前代未聞のお騒がせ候補のルーツが、実はプロレスにあったと語るのは、世界最大のプロレス団体「WWE」のマニアを自称する芸人・三又又三です。
プロレスとは?
純粋な勝敗を競う他のスポーツと違って、プロレスは、シナリオのあるショーであり、またショーでありながら、どこか本気の部分をもみせる一流のエンタティメントです。
白でもなく、黒でもないグレーゾーンをレスラー達が演じ分け、大衆はこれを拍手喝采で迎え入れます。戦後まもない日本でも、力道山が、白人レスラー達をぶっ倒す様が放映され、大人気となりました。当時の最高視聴率は64%。プロレスは娯楽の王様であり、そして民衆の声にならない声の代弁者だったことが分かります。
三又は言う。
「現在の社会がコレやっちゃダメ、アレ言っちゃダメの、規制、規制の世の中で、どことなく堅苦しいとストレスを感じているからこそ、ポンと出てきたトランプの一見下品な言葉が、大衆の心に響いたのだと思います。歴史を見ても、混沌とした時代の勝者はいつも“下品”なんです。大衆って、クレイジーな人を見るのが大好き。」
トランプ支持者とプロレス支持者
実は、トランプ氏は、世界最大のプロレス団体「WWE」のリングにもあがり、その様子はDVDにもなっています。「虚」と「実」が入り乱れるプロレスのリングは聖と悪、そして、理屈と現実をも映す最高のエンターテイメントです。
政治評論家は、耳あたりのいいキャッチフレーズをくりだすトランプ氏を、ポピュリズムと批判します。ポピュリズムとは、一般大衆の願望、不安や恐れを利用する政治体制。日本語では大衆迎合と訳されます。プロレスはもちろん、政治もポピュリズムの1つです。トランプ氏の人気は、どこまで計算か分からない言いたい放題が、大衆に受けにうけている点です。「虚」と「実」が入り乱れるプロレスのリングは、トランプによって、アメリカ全体に広げられています。そしてトランプのホラ話にも1分の真実があるというのもまた事実。結局、その審判は、有権者にゆだねられる以外にありません。
再び三又のコメントです。
「今回のトランプの表情やジェスチャー、間の取り方を見るにつけ、過去にWWEで会得した技術だと感じますよ。最初は泡沫候補扱いだったのが、本命と言われるまでになった。国をあげてのお祭りのような大統領選挙で、プロレス的手法を使ってここまで成り上がるとは恐れ入りました」
三又氏の指摘を裏付けるように、プロレス団体「WWE」の支持者とトランプ氏の支持者は、ほぼ同じだとの報道がなされています。世界の超大国として揺るぎない地位を築いたアメリカにあって、白人中間層と言われる人々は、失業の危機と、高すぎる医療費に苦しむ現実があります。
その原因は、構造的なものや、歴史的背景や原油価格など様々な要因があり、解決にむけての処方箋は描き切れません。そんなモヤモヤっとした不安を、トランプは、「違法移民をぶっとばせ!」っと過激な発言で煽り立てたのです。
白人中所得層の衰退が進むなかで、アメリカ社会は人口比でも経済的地位でもヒスパニック系が台頭する社会になりました。ヒスパニック系の学士卒業者の比率は、すでに2012年には10%を超えるようになり、全雇用に占めるヒスパニック系の比率も2000年の10.7%から2014年の14.3%に増加を続けているそうです。
ここにヒスパニック系によって職を奪われ中所得層から転落したと考える白人の中所得層には、ドナルド・トランプ共和党大統領候補のメキシコ移民排斥の主張が一定の支持を得る根拠がある。
そして、この白人の中間層こそ、プロレスに魅了される支持層でもあったのです。
外から大統領選をながめると、トランプの良さは1mmも分かりませんが、「トランプ=プロレス」との分析が一番しっくりきました^^
ヒラリーさんの人気のない理由
アメリカ大統領選に費やされる資金は100億ドルと言われる。その多くは、企業や団体が無制限に献金できる「スーパーPAC(Political Action Committee、政治行動委員会)」という政治活動を行うアメリカ独自の組織に流れ込む。
このスーパーPACの活動で目に付くのが、テレビCMなどでライバル候補を誹謗中傷するネガティブ・キャンペーンだ。大富豪や大企業が、意中の候補を支持するスーパーPACに巨額献金を行うことで、将来の政治的影響力を確保するパイプとなっているのである。有権者がこうしたシステムの在り方に憤りを覚えることは何ら不思議なことではないだろう。
優等生にみえるヒラリーさんが、いまいち人気を集められない理由も、こうした利権構造が見え隠れしているせいではないでしょうか?ヒラリーを選んだところで、金持ちが優遇される政治が続くだけ・・・ ならいっちょトランプにやらせてみっか!っというのがアメリカ国民の感覚なのかもしれません。
今度の大統領選は、「最低か最悪を決める選挙」だとの報道がされています。
本来であれば、アメリカ国民が自分たちの意志で次のリーダーを決めるだけのこと、外国人である我々や、まして幡谷がブログで語る必要もありません。
ただし、アメリカ大統領は、核のボタンを押すことのできる人物でもあります。たった3億人しかないアメリカで、選ばれたリーダーが世界の命運を事実上握っている・・・ そんな理不尽さを、残りの60億人の人々は忘れてはいけません
アメリカの超格差社会
世界経済に不穏な影が差し始めた今、国際貧困支援NGO「オックスファム」の報告が、各国に衝撃を与えている。
「世界のトップ62人の大富豪が、全人類の下位半分、すなわち36億人と同額の資産を持っている」
大ざっぱに言えば、1台の大型バスに収まる程度の金持ちが、世界の人口の半数を養える額、約180兆円を持っているということ。気の遠くなるような話だ。
現在、世界の総資産額ランキングのトップは、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏の約9兆1000億円。以下、メキシコの通信王カルロス・スリム氏の8兆9000億円、投資家ウォーレン・バフェット氏の8兆3000億円……という具合に続く。
ゲイツ氏の全財産を使えば、単純計算で日本国民よりも多い、1億3000万人の貧困層を1年間養うことができる。だからといって、当然ながら、彼の命に貧しい人々の1億倍の価値があるわけではない。それに、ゲイツ氏に普通のサラリーマンの何百万倍も能力があるとは考えづらい。
はたして、一人の人物が億単位の人を養えるほどの大金を手にすることに、妥当性はあるのか。著書『これからの「正義」の話をしよう』がベストセラーになった、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が言う。
「普通に考えれば、数千億円、数兆円という富を一人の大富豪が独占することには、意味がありません。到底使い切れないですからね。せいぜい数十億円もあれば、一人の人間が満足できないということはないはずです」
トランプも有数の大富豪ですが、まだまだ桁違いの金持ちがいるのがアメリカという国です。
しかし、1%の金持ちも、投票権は1%しかないというのが民主主義の醍醐味。
トランプが、そんな99%の市民の声を代弁している以上、一定以上の支持を集めるのも当たり前に感じるから不思議です。
アメリカのゆがみはどんなリーダーを選ぶのか?
「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての 政治体制を除けばだが」
―イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの言葉
日本でも政治不信は続き、政務調査費の不正受給の問題では、富山で大量の辞職者を出すに至りました。しかし、政治家とは国民の代表であり、代表たる議員さんの資質が足りないのであれば、投票した有権者にも課題があるはずです。
議員は、国民の写し鏡。
事実、富山の補選では、あれだけ大騒ぎをして投票率は20%台と低迷しています。4人に一人も投票していない選挙で何を決めることができるのでしょうか?そして、誰か誰に文句をいえるのか・・・ チャーチルの言葉を借りるべくもなく、民主主義は最悪の政治といえるのかもしれません。
アメリカの大統領選、普通にいけばヒラリーだが、トランプが勝つ可能性もまだまだある。
アメリカでは本日が投票日。日本時間の11月9日の午前中にも大勢が判明する模様
アメリカの将来。そして世界の未来はいかに!?
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